
堂形のシイノキ
(2003年5月4日撮影)
●概要
旧石川県庁舎と堂形のシイノキ
(2003年5月4日撮影)
金沢市の中心部、旧石川県庁の表玄関の左右にある国指定天然記念物のシイの巨木。堂形の名は、初代藩主前田利家の頃、京都の三十三間堂にならって作った的場にちなむといわれている。
玄関に向かって左側の巨樹は樹高13m、幹周り5.2m、右側の巨樹は樹高12m、幹周り7.3mである。樹齢はいずれも推定400年といわれている。この巨樹は、3代目加賀藩主前田利常時代の庭園樹で、天明の頃(1780年代)、騎射の障害から伐採を免れたものといわれている(文献10)。
騎射とは流鏑馬(やぶさめ)のように馬に乗りながら的を射る武芸で、鉄砲・乗馬・騎射など武芸に優れていた10代藩主前田重教(しげみち)はこの辺りにあった堂形馬場へ連日出て自ら騎射を行い、一度に50騎で騎射を命じたり、100騎、150騎で乗馬を行わせたこともあったという(文献61)。
●アクセス
・北鉄バス香林坊下車。
●現地紹介
旧石川県庁舎と堂形のシイノキ
(2003年5月4日撮影)
2003年5月4日、Aくんと一緒に金沢の中心部の緑を見て歩くことになった。その途中に立ち寄ったのが堂形のシイノキである。いつも見なれた場所にあり、有名な巨樹であることは知っていたが、県庁を訪ねることなどほとんどなかったので、ゆっくりと観察したのは今回が初めてである。
堂形のシイノキの樹幹
(旧県庁に向かって左側のシイ)
(2003年5月4日撮影)
樹冠はきれいに丸く刈りこまれており、樹高は低いが、下からのぞき込むと樹幹は予想以上に太かった。
樹幹は一本ではなく、何本かの幹が絡み合って一本の幹を形成しているように見える。中にはすでに枯死している幹もある。異様な形に絡み合った太い幹が歳月の重みを感じさせてくれた。
堂形のシイノキの樹冠
(旧県庁に向かって左側のシイ)
(2003年5月4日撮影)
下から樹冠を見上げると、鬱蒼と茂った濃い常緑の緑の葉がまぶしい陽光を遮って、都会のコンクリートの中で静かな陰を作っていた。
シイノキの新葉
(旧県庁に向かって右側のシイ)
(2003年5月4日撮影)
外から見ると、濃い常緑の葉に加えて、この春に開葉したばかりの新葉の青々とした緑が混じって見えて美しかった。
今年の1月に郊外に移転するまで使われていた旧県庁舎では「県庁展」が催されていて多くの人が訪れており、時折、この堂形のシイをしげしげと眺める人もいた。
金沢の街の真ん中にこのような堂々とした巨樹があるのはやはり嬉しいことだと思う。