河辺の植生
 

犀川河川敷の概観
(犀川大橋より上流を望む、2003年8月6日撮影)

 石川県には大聖寺川、手取川、犀川、浅野川、羽咋川、町野川をはじめ大小およそ40の河川がある(文献6)

浅野川河川敷の概観
(浅野川大橋より上流を望む、2003年8月6日撮影)

 金沢の中心部には犀川と浅野川が流れ、金沢を代表する河川として人々に親しまれている。
 
増水時の浅野川
流水縁のツルヨシ群落や河原のオオイヌタデ群落の一部が冠水している
(浅野川大橋付近、2003年8月12日撮影)

 河辺の植生は上流・中流・下流域、あるいは同じ下流域でも水際と川原とでは大きく異なっている。これらは河辺の小地形、土壌を構成する粒子の大きさ、水分や腐植質の含有量などの違いによることが多い。
 さらには大きな影響を与える要因として、洪水時の水と土砂の破壊力があげられる
(文献6)

浅野川のヤナギ低木群落
流水縁にはツルヨシが混生している。
(浅野川大橋付近、2003年8月6日撮影)

 出水時に冠水するような不安定なところには、ヤナギ科を主体とする木本群落を見ることができる。加賀地区では中・上流域にネコヤナギ群落が、中・下流域にはタチヤナギ群落が成立することが多いという(文献6)

浅野川のオオイヌタデ群落
富栄養な立地に生えるアメリカセンダングサが多く生育している。
(浅野川大橋付近、2003年8月6日撮影)

 下流域の川原の裸地にヤナギ類の木本群落が成立すると、密に出た枝が流れてくるものを止め、土地を富栄養にする。そのため、周辺にはオオイヌタデ、ヤナギタデなどの一年生草本群落が形成される(文献6)

増水時のオオイヌタデ群落
オオイヌタデ群落の一部が冠水している
(浅野川大橋付近、2003年8月12日撮影)

犀川中州の流水縁のツルヨシ群落
(清川町より犀川大橋方面を望む、2003年8月6日撮影)
 

 犀川、浅野川などの中流域の半安定地帯には、ツルヨシ群落が発達する。

ネコヤナギ?と混生するツルヨシ
(清川町より犀川大橋方面を望む、2003年8月6日撮影)

 ツルヨシはヤナギ類とともに川原植生の先駆植物で、砂礫質の乾燥の強いところから水際の湿地に至るまで、広い範囲に生育できる。水際ではネコヤナギと混生することも多い(文献6)

 流れがたいへん緩やかになる下流域では、堆積だけが行われ、有機分の多く含まれた砂泥質の土壌となる。このような立地では水深や土壌条件に応じて、ヨシ、オギ、マコモ、カサスゲ、クサヨシ、ウキヤガラなどが草本群落を形成する
(文献6)

犀川河川敷緑地公園
(上菊橋より上流を望む、2003年8月6日撮影)

 これらの植物は厳しい環境条件のもとに自身を適応させて生き残ってきたものであるが、県内の主な河川のほとんどは護岸工事が行き届き、大きな河川の中・下流域では流路(低水敷)より一段高い高水敷が整備され、芝生が植えられて公園化したり、グランドが建設されたりしている(文献6)

工事造成中の河川敷
エゾノギシギシやシロザなど荒地に生育する植物が生育している。
(上菊橋付近、2003年8月6日撮影)

 また低水路には土木機械が乗り入れられて、河床の平坦化や平準化を図るなどの工事が行われ、中洲、瀬や淵などの形成が阻止されている。これらの行為によって、河辺本来の植生は大きく撹乱されたり消滅したりしている(文献6)

 

 ■引用文献一覧